公益財団法人かながわ健康財団
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お医者さんがお教えします、卒煙の極意!(講演要旨)
医師(禁煙分煙活動を推進する神奈川会議会員)
○ はじめに
・ 喫煙者の6〜7割の人がタバコをやめたい、減らしたいと思っています。

・ 卒煙の方法には、@医療機関において保険適用(3割負担)で治療を受ける方法 A薬局で禁煙補助薬を購入してやめる方法 B禁煙マラソンに参加し、みんなで励ましあってやめる方法 C禁煙本を読んでやめる方法 D自力で禁煙する方法など、いろいろな方法があります。

・ ここでは、これらの中で特にお勧めの保険を使っての医療機関での禁煙治療を中心に説明します。
○ なぜ、タバコはやめにくいのか?
・医学的には、タバコは依存性薬物に分類されています。使用者における依存性は、アルコールや麻薬よりも強く、やめにくさは、タバコ、アルコール、麻薬は同等です。離脱症状の強さと急性毒性は、アルコール、麻薬、タバコの順です。しかし、タバコは、最も多く死亡している依存性薬物です。

・ 喫煙のやめにくさは、喫煙によって、喫煙せざるを得ないと錯覚させる脳の機能不全状態が形成されるからです。

・ 例えば、非喫煙者は、おいしい食事をすると脳波のアルファー波が十分に出て満足感が得られますが、脳が機能不全状態になっている喫煙者では、食後にタバコを吸わないと徐波化したアルファー波が上昇せず、満足感が得られません。禁煙することにより、1週間でこの脳の機能不全状態は回復します。

・ タバコを吸うことで解消されるストレスはニコチン切れによるストレスだけですので、喫煙者は、仕事や人間関係のストレスの上に、ニコチン切れによるストレスもかかえることになります。しかし、禁煙治療を行った喫煙者の8割が、タバコにはストレスを解消する作用がややあると考えており、多くの喫煙者が誤解しています。

・ 禁煙に挑戦した人の中には、3日から1週間で挫折する人が多くいます。落ち着かない、眠い、やる気が出ない、頭痛がするなどの禁断症状は3日目あたりが最も強く、頑張って禁煙継続すれば1週間から2週間でおさまります。
○ 禁煙外来を受診するには?
・禁煙外来は、禁煙の方法をお教えする場所であって、禁煙するかどうかを相談する場所ではありません。

・ 保険治療を行っている医療機関のリストは、日本禁煙学会や県、かながわ健康財団のホームページで見ることができます。また、地元の医師会や保健所でも教えてもらえます。

・ 禁煙治療は予約制で行っている医療機関が多いので、受診するときは、電話で予約を入れていただくと良いと思います。

・ 他の医療機関で高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、メタボリック症候群、喘息、歯周病、腰痛症等の治療を受けている場合には、紹介状をもらってきてください。特に、うつ病や統合失調症など、精神神経疾患のある人については、主治医との連携をとりながら治療する必要があります。
○ 禁煙外来の実際は?
・ ある医院を例にして、一般に禁煙外来ではどのようなことをするのかをお話しします。

・ 保険診療で禁煙治療を行うためには、敷地内禁煙が要件となっています。

・ まず、窓口で保険証と紹介状を出していただき、問診票を記入していただきます。

・ 次に、パソコンのモニターなどでタバコの健康影響や禁煙方法などについての教材を15分程度見ていただいた後、診察に入ります。

・ 診察では、まず、医療保険の適用になるかどうかを確認します。

・ 医療保険を適用できる要件は、ニコチン依存度テストで5点以上、「1日の平均喫煙本数」×「喫煙年数」(ブリンクマン指数)が200以上、そして、すぐに禁煙を開始したいという意思があることです。

・ 保険適用による治療では、3か月間にわたり5回(〜7回)通院してもらうことになります。自己負担額は、3割負担の方でニコチンパッチ使用の場合約1万3千円、経口禁煙薬使用の場合、約1万9千円です(平成22年5月時点)。1日1箱吸う人では、1.5〜2か月分のタバコ代で治療を受けることができます。

・ 毎回、呼気一酸化炭素濃度検査を行い、喫煙の状況を確認します。非喫煙者の場合、1PPM〜4PPMですが、ヘビースモーカーの場合、50PPMに達することもあります。喫煙の場合は断続的ですので倒れるまでにはなりませんが、この状態が続く場合には、低酸素状態のため倒れてもおかしくありません。この値は、禁煙によって低下し非喫煙者と同レベルになります。

・ このほか、いろいろな問診票を使って身体的・心理的な依存度を探りながら面接を行います。

・ 保険治療には、ニコチンパッチ又は飲み薬タイプの禁煙補助薬を用います。ニコチンパッチは、狭心症や心筋梗塞、脳血管疾患の急性期の人には使えませんが、飲み薬は、このような人にも使えることがあります。

・ 喫煙は、脳にニコチンを急激に送り込むことにより依存症を起こします。これに対し、ニコチンパッチは、徐々にニコチンを吸収させるため、ニコチン依存症を起こさず離脱症状を抑えることができます。それによって禁煙が容易にできます。

・ ヘビースモーカーのためニコチンパッチで十分なニコチン量が得られない場合には、補助的にニコチンガムを使うことがありますが、かみ方によってある程度ニコチンを急速に吸収することになるので、まれにガムがやめられなくなることがありますので、注意が必要です。

・ 飲み薬は、脳のニコチン受容体に結び付きます。1週間は薬を飲みながらタバコを吸ってもらい、8日目からタバコをやめてもらいます。ニコチンが受容体に結び付けなくなるので、タバコを吸ってもおいしく感じられなくなり、ニコチンの作用がなければたばこはまずいものだということに気付くことになります。嘔気などの副作用がありますが、重大な副作用は希です。

・ 身体的依存は、これらの薬で治療が容易になりましたが、心理的依存の治療は手ごわく、これに力を入れて診察に当たっています。心理的依存から抜け出すためには、タバコに対する正しい知識を持ち、色々な状況(飲み会、食後、仕事の一区切り等)をタバコ無しでしのいでいく練習を重ねることが大切だと考えています。

・ 2回目以降は、薬の副作用を確認し、会話をしながら禁煙継続を応援していきます。
○ 禁煙のポイント
・ 軽いタバコに代えることや節煙は、健康被害を減らすことには繋がりません。きっぱりやめることが大切です。

・ 禁煙する場合には、パチンコをやめる、酒席を避けるなど、喫煙したくなる場所を避け、運動をするなど喫煙しにくい環境に変えることが大切です。

・ 禁煙後、1本でも吸ってしまったら、再発してしまいます。1本でも吸ってはいけません。

・ タバコをやめると体重が増えることがあります。喫煙は40キログラム分くらい体重が増えたときの心血管疾患リスクを負っています。ですので、見かけと実際の健康状態は全く違っています。2キログラムくらい増えても多くは1〜2年で元に戻ります。一時的な体重増加はむしろ健康になったと考えてください。

・ 禁煙はチャレンジすることが重要です。

・ 気軽にやってみましょう!お待ちしております。